29. ~経済産業省「ファミリーガバナンス・ガイダンス(案)」に対するパブリックコメント募集を受けて~

2026/04/30

 

 経済産業省は、2026年3月30日に発表した「ファミリーガバナンス・ガイダンス(案)」に対するパブリックコメントを募集しています(募集期間は2026年4月30日)。そこで、弊社(Y&Pファミリービジネスコンサルティング株式会社)としても、税理士や弁護士の立場というよりは、一コンサルティング会社として思うところを述べさせていただきました。私たちの意見をどこまで取り上げてもらえるのかはもちろん定かではありませんが、ファミリーが、今回提案されている「ファミリーガバナンス・ガイダンス」をまとめあげて対外的に公表することに対する、ファミリー側のインセンティブが一体どこにあると想定されているのかな、ということをずっと考えて参りました。

 少し話が変わりますが、先日、ご縁があって受講した「決断思考」のセミナーで学んだ内容によると、言語学の世界において、英語は「話し手責任」の文化であり、一方で日本語は「聞き手責任」の文化だと分類されているそうです。つまり、ハイコンテクスト、阿吽の呼吸が成り立つのは、後者であり、聞く側が、ああでもない・こうでもないと慮りながらコミュニケーションをとっているので、全てを言葉として表現しなくても、行間を読み取り、感じるコミュニケーションを無意識のうちにおこなっていることになります。そんな文化で育った私たちが、敢えて文書化することで何を得られるのか。あるいは、言葉に落とし込んでいないからこそ上手くいっていたこともあるのでは、とも感じます。敢えて言葉にしましょう、というからには、そこに何らかのインセンティブが必要ではないのかと思うのです。

 実は、私たちも、お客様を第三者としてサポートするにあたって、憲章を作りたいとおっしゃっているファミリーが、本当に求めているものは何なのかを、感じ取る必要があります。このエッセンスは、何十年もお手伝いしてきた「事業承継コンサルティング」の場面でも同じです。時には、ぼやっと頭の中にあることをくみ取って差し上げて、明確な言葉に表現してお伝えすることで、「そうそう、それです!」とおっしゃっていただけるようなこともある一方で、本当の目的を、少なくともキーマンであろうリーダーにあたる方が口に出して明確に発言されない限り、私たちも敢えて触れずに進めることもあります。このように、絶妙なバランスを維持しながら、最後まで伴走させていただき、着地すべきところに着地させるのが私たちの仕事だと考えています。

 さて、経済産業省の「ファミリーガバナンス・ガイダンス」を本当に必要とされるファミリーとはどんなファミリーでしょう。何を「めあて」に導入を目指すのでしょうか、また、具体的にどうやって導入していくのでしょうか。ファミリーの意見をまとめあげる=コミュニケーションをとることも、それほど簡単ではないのかなと思うのですが、そんなプロセスを経て文書化を成し遂げたことに対するインセンティブはどんな点にあるのだと国は考えているのでしょうか。経済産業省からの最終発表が楽しみです。

 

この記事の執筆者

田場 万優
Y&P ファミリービジネスコンサルティング
田場 万優

税理士法人山田&パートナーズ パートナー
税理士